きんつぎの専門性
社名の「きんつぎ」は、器を金や銀の粉をかけて修復する技法の「金継ぎ」からきています。
修復する前の器は、器として使う上での本来の価値が一部欠けてしまっているかもしれません。
しかし、その器は、金継ぎを施すことで機能としての価値を取り戻し、
さらに、その器だけの固有の価値を創ることができます。
私たちは、器ではなく、“地域”の金継ぎー地域の固有の価値の創出を実践していきます。
株式会社きんつぎの専門性は、建築と不動産です。
建築と不動産の両面から地域を捉えることで、片面からでは見いだせない価値を発見します。
例えば、空き家を考えてみましょう。全国の空き家は846万戸。
きんつぎの本社のある愛知県瀬戸市には、約7,000戸の空き家があります。※1
中には、築100年を超える古民家もあり、建築側から見ると魅力ある建物が多く残っています。
しかし、不動産側から見てみると、相続などで築年数の古い建物が売られる場合、
解体して更地にするか、解体前提で売りに出されることがほとんどです。
みなさんも、そのような不動産広告を見たことがあるかもしれません。
買う人からすると、更地になっていたら、建物を使うことはできませんし、
不動産広告に更地渡し(解体した後に引き渡す)と書いてあると、
その建物を使うという発想にはならないかもしれません。
一歩引いて視野を広げてみると、改修して住む、建物の一部を残して使うなど、いくつもの選択肢があります。
改修をした家は金継ぎのように、住まい手にとって味わい深い、固有の価値となり得るのではないでしょうか。
今後、空き家は人口減少とともに増えていき、
12年後の2033年には、空き家が2,000万戸弱になるという予測もあります。※2
もちろん、ある程度の良質な新築は必要になるでしょう。しかし、もっと多くの選択肢があって良いはずです。
では、どのようにしたら住まい手は、選択肢を増やせるでしょうか。
そのためには、建築と不動産、それぞれの専門家に同時に相談できる環境が必要です。
立地や周辺環境、接道状況などから見えてくる不動産の価値と、
築年数という数字だけではない、その建物の歴史や文化から見出される建築の価値。
双方の価値を同時に読み込み、2つを掛け合わせることで、
きっと、自分だけの固有の魅力をもった家をつくることができます。
そんなこだわりのある住まい手が集まり、地域も一緒につくっていくことができれば、
豊かな暮らしが持続する仕組みとなるでしょう。
参考プロジェクト
※1 平成30年住宅・土地統計調査
※2 2019年度版 2030年の住宅市場と課題 野村総研研究所
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