空き家の種類
先週のコラムでは、空き家を利用する際のハードルについてお伝えしました。
今週は、空き家の種類について深堀りすることで、空き家活用の糸口を探していきたいと思います。
日本の空き家は現在846万戸といわれています。※1
毎年空き家が増加し、「空き家問題」はネットやニュースで、普段よく目にするようになりました。
しかし、空き家問題といっても、この846万戸すべてが問題なわけではありません。
例えば下記のグラフの場合、別荘は二次的住宅に、
賃貸住宅で入居者が入れ替わるあいだの空き部屋は、賃貸用の住宅に分類されます。
ひとことで空き家といっても、このように4つに分類されます。※2
(二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅、その他の住宅)
空き家問題とされているのは、この中の「その他の住宅」を指す場合がほとんどです。
「賃貸用の住宅」ついていは、入居者の入れ替わりを考慮すると、数パーセントの空き家が必要といわれています。
現在の約431万戸は、それを考慮しても大きい数字ではありますが、こちらの話題はまた別のコラムでお話しできればと思います。
では、「その他の住宅」について、さらに詳しく見ていきましょう。
住宅・土地統計調査によると、「その他の住宅」の定義は、
“二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅以外の人が住んでいない住宅で,
例えば,転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や
建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など”
とあります。空き家を放置すると、家自体の老朽化や、景観悪化などにつながることは、
前回のコラムで触れましたが、空き家オーナーさんの立場に立ってみると、どうでしょうか。
空き家にしておく理由は、
・取り壊すと固定資産税が高くなる
・仏壇など捨てられないものがある
・将来、自分や親族が使うかもしれない
など様々です。※2
上記のような理由から、オーナーさんは空き家を貸す意思がない場合が多く、
「その他の住宅」の情報は、市場にあがってきません。
しかし、多くの空き家オーナーさんとお話して感じたことですが、
まったく貸す意思がないわけではなく、
・期間限定なら貸してもいい
・一部は物置のまま使いたいが、その他の部分なら貸してもいい
・地域に貢献できることなら使ってほしい
といった声を耳にします。
オーナさんの想いをくみ取り、不動産の商慣習や定石にこだわり過ぎず、
柔軟にオーナーと借主をつなげることができれば、もっと空き家は流通していくと考えています。
地域に根差して活動していると、犬の散歩中の井戸端会議や地域の集まりなどで、
空き家オーナーさんの困りごとのご相談をよくいただきます。
大々的に広告を出して貸したいというわけではないけど、使ってほしい。そんな「その他の住宅」を再発見し、
使い手とオーナーさん(空き家をどうしてよいのかと困られている方)を結び付けるような仕組みを
きんつぎは作っていきます。
※1 平成30年住宅・土地統計調査
※2 空き家等の現状について(国土交通省)
上妻優生
素晴らしいです!