この建築物は住宅と賃貸物件から構成されています。
戦略
都市部に住宅をつくる際、土地の購入費が高くなるため、住宅単体の機能としては持続的にその場を持ち続けることが難しくなる事もあるかもしれません。そのリスクを軽減させる方法として賃貸部を建築内に取り入れることが考えられます。
土地には用途地域によって容積率が定められています。都市部における多くの土地は容積率が200%に定めらています。住宅の場合、容積率を200%使用する事は稀です。仮に100%を使用していれば、残り100%があります。この残り部分を賃貸部として利用すれば都市部に土地を持続的に持つことのリスク軽減になり得ます。
キーワード
明るさはいらない、プライバシー強度、長屋、車庫
デザイン
クライアントは暗さを要望しましたが、クライアントの要望していたことは静けさだと感じました。昼間アクティブに働くクライアントにとって住宅に求めていたことは外部を感じさせないサイレントな空間。そのためにコンクリートの壁で建物を覆い、その中に木造の箱を入れています。開口は低い地窓とし、コンクリートの壁と木造の外壁から反射した優しい光を室内に取り込みます。通常、窓の開いている方位によって日射量が異なることから時間を感じますが、この住宅は直射日光がなく、間接的な光のため時間を感じさせません。また、コンクリートの壁によって音を遮り、室内は静寂です。音も光もサイレントな空間となっています。
窓は開放的であるものの、外の風景は全く見えません。光は壁から反射し、柔らかな光となって室内に注ぎ込みます。硬く籠るのではなく、柔らかく籠る空間をつくり出すことを目指しました。