この建築は設計者の住宅兼事務所として建てられました。
背景
建てようかどうかと迷っている時に東日本大震災がありました。当時、古い建物を改修して事務所兼住宅として利用していましたが、古い建物は揺れ続け、地震による揺れが新しく建物を建てることを決める要因となりました。あの時の揺れやその後の映像は今でも忘れることが出来ません。
土地探し
土地を探す際、開放的な場所を求め、河川の前の土地を探しました。しかし、川の前の土地はなかなかありません。そこで、広い道路を川に見立て、開放的な場所を探すことにしました。
デザインについて
この建築が建つ街は名古屋市東部の丘陵地帯のため、街全体にフラットな場所を見つける事が困難なほどです。もちろん敷地にも高低差があったため、その高低差に対して馴染むように全体の断面構成をスキップフロアーとすることが最初に決まりました。
平面的に放射状の形状をしているので外の風景が中心に集まってきます。また、住宅部分である2階は動線が蛇行していることにより、歩くたびに景色が切り替わっていきます。
この建築の特徴とも言える樹形の外観は見る角度によって切り取る外部を複雑にしたかったことと構造的に階毎に必要な壁量が異なることから決まっています。
当初の目論見通り、開放的な場所でありながらも、人の少しの動きによって見え方が変わる建築となり、居心地の良いと言えます。建物の周囲にある庇により夏の直射日光を遮ります。平面的には複雑な平面ですが窓を開ければ風は流れ、居心地の良さは向上します。
この建築はあえて作り込まずに使い方を使い手に委ねています。形態は特徴的ではありますが、使い手がその場の使い方を考えることが出来る場所にすることで建築の持続性を上げることを考えています。