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空き家:古い木造住宅の課題

先週のコラムでお伝えしました空き家の種類。

その中で今後課題となってきますのが、現在使用されていない戸建て木造住宅(空き家)です。

 

 

持続可能な世界を作っていくためには今あるものを大切に使用するという価値観は必須とも言えます。

長期間の使用を考慮した際、現在空き家となっているような古い木造住宅には多くの課題があります。

建物が作られた年代によって課題は異なりますが、ざっとあげると以下のような課題があります。

●構造面に関する課題

・構造耐力壁不足による耐震性

・不同沈下による基礎の割れ

・シロアリ被害

●温熱換気に関する課題

・隙間が多い

・無断熱

●設備的な課題

・排水が汲み取り式のまま

 

課題は多くありますが、良い所ももちろんあります。

 

  • 材料に味がある
  • 今では作る事のできない細かな細工がある
  • 土壁など現在だと費用負担が大きい工法で作られている事もある

課題になることの多くは機能面で良い所は情緒面になります。

この情緒面は手に入れることが困難ですが、機能面は改善する事が比較的容易です。

 

特に構造的な課題は人命に関わりますので改善すべきポイントになります。

構造補強を大まかにお伝えしますと以下の2点が構造的な補強になります。

・耐力壁の設置(耐力壁の吊り合いを含む)

・接合部の金物補強

 

現在の建築基準法に合わせた耐力壁の配置が基本中の基本です。

外壁が傷んでいるケースが多い事と断熱や通気の問題を抱えている事が多い事から、

(通気工法が採用されるようになったのは平成以降になります。)

外壁を外し、耐力壁を設置することがお勧めです。

また、屋根が瓦にて葺かれている事が多くあると思いますが頭が重い事は構造的に不利になりますので、

瓦からガルバリウムのように軽い材料に変える事をお勧めします。

(耐力壁を瓦に対応出来るだけ設置できる場合は問題ありません。)

耐力壁の設置とは少し話が逸れますが古い住宅の瓦において下地に土とルーフィングが併用されている事があります。

この組合で地震が起きると瓦と土が滑り落ちて大変危険な状況になる事が予想されるので改善ポイントです。

 

上記が耐力壁に関わる大まかな注意点ですが、

その他にも軸組の組み方によって接合部の金物補強を行う必要がありますし、

構造的な観点から基礎の補強が必要な場合もあります。

 

構造体を痛みつける白蟻は水分を好みますが、紫外線に弱いため蟻道というルートを作ります。

基礎にクラックがあるとそこから白蟻が侵入してきます。

現在のようにベタ基礎でない布基礎の場合は地面からの侵入もあり得ます。

布基礎の場合は地面にコンクリートを打設することが白蟻対策として良いのですが、

コスト的な問題や施工的な問題がある場合はビニルシートだけでも施工した方が湿気対策→白蟻になります。

 

上記のような構造的な課題を解くことだけでも大変に感じてしまうかもしれませんが

長く建物を使用することを考えると必要なことになります。

きんつぎでは構造の補強計画は構造設計事務所と共に安全性を考慮し、設計を行います。

 

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